〜恐怖の感情について〜

　（※ジェイミー・バーク）

　　不安感は、呼吸のように定期的に僕を訪れます。僕の細胞には不安が詰まった細

　胞核があるに違いないと僕は信じているのですが、小さかった時は、僕の体が不安

　を対処できるように、うろうろ歩き回っていたんだと思います。あたかもヤマアラ

　シが針を突き刺すかのように、神経がチクチクと痛むのを僕は感じていました。感

　覚統合……は、僕の体にとって巨大なバンドエイドのようなものでした。突き刺さ

　るトゲを綿のボールでくるみ、僕が少し心地良くなれるようにしてくれるのです。

　　　　　　　　○

　（※リチャード・アトフィールド）

　…僕はごく幼少の時から、自分は他の子とは違うと気づいていました。３５０ほど

　の語彙をもっていたのに、自分を表現するのが非常に苦手でした。世界は僕にとっ

　て大きくて恐ろしい所に見えましたが、子どもたちやスタッフは僕を大変快く受け

　入れてくれました。５歳になるまでに、身体を器用に動かしたりすらすら言葉を話

　したりすることが必要のないものになら、幼稚園の活動に参加できるようになって

　いました。

　　　　　　　　○

　ジェイミー・バークは、自分の中に、不安感情という細胞があるに違いないと感じている。

　リチャード・アトフィールドは、小さい頃から「語彙」は持っていたが、世界は大きくて恐ろ

しいところに見えていたと言う。

　現在でも自閉症関係の本などを読んでも、あまり強調されていないのだが、恐怖の感情は、自

閉症者にとっての感情の中心になっていると僕は思っている。その認識は、とても重要なことだ

と思える。

　僕たちの感じている恐怖の感覚とは、まるで度合いが違っている。

　（この項、了）