〜ガールフレンド〜

　　はじめてガールフレンドができたのは、ＡＳの診断を受ける前でした。彼女は、

　私の行動を「ユニークで素敵」と言ってくれて、私はその言い方がけっこう気に入

　っていました。女性とつき合うことは簡単ではありません。気が向かなくても電話

　をしたり、相手を理解する努力をしたり、優しくしたりしなければなりません。彼

　女とは４年半つき合いました。

　　２番目につき合った女性はもっと自立していました。最初の彼女ほどひんぱんに

　電話してきたり、メールを送ってきたりしなかったので、その違いに戸惑いました。

　変な言い方ですが、私は女性は皆同じではないかと思っていたので、この２人が全

　く違うので、混乱しました。自分の頭の中でよく２人を比較しました。このことが

　彼女に知れて別れるきっかけとなりましたが…。

　　この２人の女性とつき合ってだんだんわかってきたことは、当たり前ですが、女

　性はクローン人間のようではなく、指紋やＤＮＡが違うようにまったく異なってい

　るということです。人とつき合うということは、お互いが何が好きで何が嫌いかを

　知ることであり、また自分と相性がよいかどうかを知ることで、私にとっては人間

　を学ぶプロセスなのです。

　　　　　　　　　　○

　もちろん、定型発達者にとっても、「男女関係」「恋愛関係」は、推し量るのが難しいし、た

くさん出あいと別れが繰り返されている。僕もうまくやれているとは、とうてい言えないし、女

性の気持ちが分かっているとも、とうてい言えない。

　だが、定型発達者として言うと、「女性」がひとりひとりタイプが違うし、対応も違うという

のは、さすがに普通なら、「自然」のうちに理解するようになっていると思う。「前の彼女」と

「今の彼女」との違いで驚いたり、戸惑ったりすることはないと思われる。

　テンプル・グランディンは、「恋愛の感情や、恋のやり取りは、自分には複雑過ぎてとう

てい対応できない」と言っている。最初から、恋愛はしないことにしているらしい。確かに、

恋愛の感情やそれに伴う人間関係は、「絵」で考えようとしても、難しいことに違いない。

　（この項、了）