〜「過集中」〜

　　アスペルガーの特徴として「過集中」があります。興味関心を持ったことに没頭

　して取り組み、ときには、時間を忘れ、人の声も聞こえなくなるほど集中すること

　もあります。「過集中」の結果、完成度の高いものを創りだすことができるなど、

　「天才的！」とほめてもらえることの多い特徴です。

　　　　　　　　　○

　　ところが、いくら「過集中」がほめられやすい特徴だとしても、人の体には限界

　がありますから、眠らなければ睡眠不足の影響は必ずでますし、ずっと同じ姿でパ

　ソコンに向かいつづければ、目も疲れ体も痛みます。

　「過集中」にはメリットもありますが、それ以上に心身の健康を保つという点では、

　配慮が必要なものなのかもしれません。

　　こんなことがありました。

　　インターネット上での交流サイト、「フェイスブック」に夢中になり、まさに過

　集中の状態で、連日フェイスブック上での情報発信やコミュニケーションに取り組

　みつづけた時期がありました。

　　その成果はたくさんの人の評価を得て、使いかたのノウハウを伝えるセミナーや

　講演会が連日開催され、会場から会場へと都内を駆け回るようになったのです。

　　でも、そうしたときに使う、パワーポイントというソフトでの資料作りにも私は

　手を抜くことができません。

　　毎日、フェイスブックで経験や発見を重ねるたびに、それを伝えようと、何十枚

　ものスライドをセミナー前日深夜まで作りつづけてしまうのです。

　　その日も都内で1日がかりのセミナーがありました。数日前には地方出張をこなし、

　また季節の変わり目で急に寒くなった時期でもありました。資料作りに没頭し、朝

　ぎりぎりの時間まで作っていたので電車での移動が間に合わず車で移動し、セミナ

　ーを1日こなした帰りの運転中のことでした。

　「さすがに疲れたなあ」というくらいの感覚でしかなかったのに、急に意識が落ち、

　気がついたときには追突事故を起こしていました。

　　事故の処理は１時間足らずで終わり、自分で運転をして帰ることができたのです

　が、急に強い疲労感が押し寄せ、咳が止まらなくなり、翌日病院に行くと、「肺炎

　を患っている」とのこと。

　　何日も点滴を受け、完全休養しなければならないほど、体がダメージを受けてい

　たことに、こうなってはじめて気がついたのです。

　　事故の相手のかた、キャンセルをしてしまった仕事関係のかたがた、私の看病に

　つきあわされた娘など、たくさんの人に大きな迷惑をかけ猛省しました。

　　　　　　　　　○

　確かに、アスペルガーで、こういうタイプの人がいると思う。

　仕事に集中して取り組んでしまって、頑張れるだけ頑張って、疲れにも気がつかないままで、

「気がついたら倒れていた」という人が。

　大変、わかりやすい例なので、引用しておく。

　（この項、了）