〜遠足・お泊り〜

　遠足　：　初めての場所にママがいないのに行きたくない。携帯電話を持たないで、

　外に行くのも嫌だ。何かあったらどうするの？　ママがいなくても、栗林先生がい

　なくても、他の人に助けを言う練習が必要。遠足は僕にとっては修行の一つ。帰れ

　ないと困るので、道はメモしておく。

　　外でごはんやおやつを食べるのは好きじゃない。いつもと違うから。ご飯は家や

　学校でテーブルで食べるほうが安心。でも、外で食べる練習も必要。

　お泊り　：　大切な修行。泣いている暇もさみしいと思う暇もない。グズグズして

　も連れていかれる。毎年行く必要がある。来年は遠慮したい。

　　　　　　　　　　　○

　これも、当人の「遠足・お泊り」の記述（感想）というのは、珍しいのではないか、と思える

ので、引用しておく。

　遠足は、相当、不安なんだろうなと思う。大地くんは、携帯電話をもたないことに挑戦してい

る。遠足が修行の一つ、というのは、やはり、独特だ。普通（定型発達）では、そこまで心配は

しない。楽しいものだろう。帰れないと困るので、道をメモしておくのも面白い。

　お泊りの感想も、素晴らしい。

　ああ、確かに、そんな感じになるだろうなと思わせられる。

　定型発達の子なら、お泊りは、楽しいのかもしれないが、アスペルガーの子にとっては、相当

な恐怖と、ストレスとの戦いになることだろう。

　「泣いている暇もさみしいと思う暇もない。グズグズしても連れていかれる。」という

のは、とても正直な感想なのではないだろうか。

　お泊りが、苦手な子は、結構いる。

　僕は、連れて行く側だったわけだが、修学旅行などでは、事前に、以前のビデオなどを見せて

視覚的に見通しが持てるようにしていた。

　だが、そこまでの内面の大変さを理解してあげていたかと言えば、疑わしいと言わざるをえな

い。

　（この項、了）