〜スーパーマリオ〜

　　　　　　　　　　○

　　日本は本当にものをコピーするのがうまいと私に言ってた人もいました。たとえ

　ばそれは、オランダのコピーである長崎のハウステンボスや、車など、いろいろあ

　りますが、コピーにかけては世界一だと言うのです。でも私はそういう人たちに対

　して、日本人だって想像力豊かだと説得もしました。たとえば世界で最も有名なコ

　ンピュータゲーム「スーパーマリオ」は日本企業によって生み出されたゲームです

　ね。

　　私は三一歳ですが、私の年代は世界中で「スーパーマリオ」のゲームをして育ち

　ました。任天堂と言えば、「スーパーマリオ」というくらいに、強く記憶に残る傑

　作です。それほどにすごいゲームを小さなオフィスで考え出し、「スーパーマリオ」

　というファンタジーワールドを創り上げた、すばらしい想像力の持ち主がいたに違

　いないということなのです。私はこの「スーパーマリオ」が、日本人のすばらしい

　想像力を象徴するものだと思うのです。

　　私は、この事例はアスペルガーのようだと思います。このゲームを創るために求

　められた芸術性・創造性はおそらく隠し持っていたものだからです。つまりは、ゲ

　ームのプログラマーは実生活において、サーカスのピエロのようであったわけでは

　ないけれども、頭のなかにはあらゆるアイデアと想像力があって、それをゲーム制

　作に注ぎ込んだのです。これを作った人は、アスペルガーの人のようです。アスペ

　ルガーの人も才能は内に秘めているからです。

　　　　　　　　　　○

　（※リチャード・モートは、イギリス人のアスペルガーの人。）

　「スーパーマリオ」というのは、すごい影響を世界中に与えたのだなと思った。僕は詳しく

ないのだが、「スーパーマリオ」は、ゲームの「仮想空間」の中に、リアルな世界観を実現し

た最初のソフトであったのかもしれない。

　ニンテンドーの「スーパーマリオ」を作った人が、アスペルガーかどうか、僕は知らない。

　だが、イギリスのアスペルガーの人からこういうことを言ってもらえるとありがたい気がす

る。現代の日本には、子供がコンピューターゲームをすると、「頭が悪くなる」「脳の活動が

活発化しなくなる」などの過剰反応が、教育熱心な保護者から、脳科学者まで（！）いるから

だ。もしも、それが本当なら、世界中の先進国の子供の「学力」は低下し、日本の子供たちの

「学力」も相当、低下しているはずだ。

　養護学校の生徒たちも、コンピューターゲームは大好きだ。自閉症の子もいれば、アスペル

ガーの子も好きだし、知的な遅れのある子もいる。

　僕が一番、印象に残っているのは、計算すら難しい子の家に家庭訪問に行ったときに、その

子が、「スーパーマリオ」をしていて、どこに何が隠れているかもわかっていて、スイスイと

ゲームをしていたことだ。実際に、手で操作しているうちに覚えたに違いない。

　（この項、了）