〜ひも結び〜

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　　子どもの頃、私は靴のひもを結ぶことができませんでした。名前を書くには、少

　し紙を傾けなければなりませんでした。しかも、書いた文字にはスペースがなく、

　ぴっちり字がくっついていました。シャツのボタンをはめることもできませんでし

　た。爪の長い動物の手のような感じ、あるいはグラブをはめているような感覚があ

　って、細かな動作ができなかったのです。

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　くつのひもが結べない子は、結構いる。その感覚が、当事者からはどう感じているのか、僕

にはよくわからなかった。こういう記述は、僕は、初めて読んだと思う。

　ひも結びができない理由は、いろいろありえるだろうが、リアン・ホリデー・ウィリーの場

合は、知的には高いので、純粋に、手の微細な感覚の問題であると考えられる。

　靴のひもが結べない感覚は、「爪の長い動物の手のような感じ、あるいはグラブをはめて

いるような感覚」がある、ということらしい。確かに、僕（たち）でも、軍手をはめて、シャ

ツのボタンをはめたり、ひも結びをしたら、もどかしくて、うまくいかないだろう。

　また、確かに、文字の大きさが調節できない子で、四角い枠を書いてやると、その中に字を

書けるのだが、枠いっぱいに文字を書く子がいる。それも、何らかの手の間隔に問題があるの

かもしれない。興味深いことだと思う。

　（この項、了）