〜自閉症を受け入れる〜 ○ ニ 日本でも話題になった水銀療法みたいなものですか? 浅 (アメリカでは)水銀療法もそんなにインチキだと思われていないような感じ を受けました。大まじめで検討されているみたいだし。自閉症が治る、っていうの は極端にしても、とりあえず見かけだけでも「ふつう」の子にしてほしい、だから 週四十時間行動療法してほしい、とかそういうことを言い出す人も出てくるわけで すね。ニキさんなんかはそういう考え方好きじゃないんじゃないかと思うけど。 ニ もう一度自閉っ子に生まれたいのにな〜。 浅 ところが同じスクールカウンセラーの方が言うには「でも結局、親が自閉症の ままでいいと受け入れた子どもの方が状態が良くなるのよね」と。 ニ そうか、そうか。 浅 そうなんですって。おそらく、「あんたはダメな子なのよ、不完全な子なのよ、 変わりなさい」っていうメッセージを知らず知らずのうちに受けている子より、弱 いところを埋めるトレーニングは受けているけど、ありのままで愛されている子の ほうが、結局はよくなるんでしょう、ということでした。またトニママの言うよう にやはり生活にはバランスが大事で、週に何十時間もセラピー受けたりした子もあ とあと状態がよくなくなることも多いそうです。 ○ なるほど。今までやってきた経験的な「勘」としか言いようがないのだが、僕も、そういう ことはありえると思っている。科学的な証明もできないだろうし、「行動療法」の考え方から も認められないことだろうが。 親としては、「社会的に通用する子」になって欲しいと願う気持ちも起こるだろう。「行動 療法」は、それに見合う指導法だ。 でも、実際には、その子の「内面」の問題が<配慮>されなければ、本当の意味での解決 にはならないのではないだろうか。あまり集中的にセラピーを受けても、あとあとは状態が よくならないこともある、というのもありえることだと思う。 |