〜子育て支援犬〜

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　　●ワンちゃんトリオは大切な家族

　　我が家には、航平が生まれる前から、小型犬マルチーズの「ももちゃん」がいま

　した。

　　このももちゃん、“子育て支援犬”として、大活躍してくれたのです。航平が泣

　けば、すぐに私たちのところに駆け寄って「ワンワン」と教えてくれます。私たち

　が気づかない時や、わかったとしてもすぐに行けない時は、自分のしっぽを彼に触

　らせてなだめていることもありました。

　　航平が歩き始めた頃、ヨチヨチ歩きで玄関から表の車道に出てしまったことがあ

　ります。その時は、それこそ異常な吠え方で緊急事態を教えてくれました。朝の通

　勤時間で交通量が多かったので、ももちゃんが知らせてくれなかったらどうなって

　いただろうと思うと、凍りついてしまいます。

　　それ以来、ももちゃんは命の恩人として、より一層大切な家族となり、航平にと

　っても、そばにいてくれるだけで安心できる存在となったのです。ももちゃんのフ

　ワフワした毛質は、触るととっても気持ちがよくて、その感触が大好きな航平は、

　いつも、ももちゃんをスリスリと触りながら、かわいい笑顔をしていました。

　　航平は今でも、ワンちゃんの毛並みが大好きです。ももちゃんはお星様になりま

　したが、そのあとも彼が不安定な時期を過ごすことになるたびに、我が家には新し

　いワンちゃんが増え、現在は、菜奈（なな）ちゃん・芽々（めめ）ちゃん・瑠琉（

　るる）ちゃんの「ワンちゃんトリオ」が同居しています。ワンちゃんトリオは、航

　平にとって心を落ち着かせるためになくてはならない存在です。

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　動物と自閉症者が相性がいいのは、何度も取り上げてきた。

　これも、そのいい例だ。自閉症者と犬、の例。

　『自閉症の君は世界一の息子だ』（ポール・コリンズ）には、自閉症者用の「介助犬」の

話が出てきていた。

　この「ももちゃん」も同じだと思う。たまたま一緒に飼われていただけで、特別な訓練を受

けているわけではないが、やっている行動は、まったく「介助犬」と同じだ。

　泣いていると知らせに行ったり、来れないときは、尻尾を触らせてなだめている。また、危

険な状態の時には、それを察知して知らせている。

　たまたま一緒に小さいときから飼われているだけで、どうしてこんなことができるようにな

るのだろう。少なくとも、「ももちゃん」は、航平くんを「自分の家族の一員」と見なしてい

ることは、確かなことのように思われる。

　この犬の能力は、実際には、驚異的なものだと思う。また、犬の毛の感触が好きであるため

に、航平くんの情緒の安定にも役立っている。