<内側から見た自閉症>

〜サラ・ヘンドリックス〜

『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』

 

〜ASDの性差〜

  キーホルダーからガガンボ(昆虫)まで、私はたくさんのものを集めていました。

 (…)空き瓶にこれらの昆虫をあふれんばかりに詰め込んでいました。虫たちの苦

 しみを思うと、本当にひどいことをしたと感じます。瓶の中の昆虫を眺めるのが大

 好きでした。ぎっしり詰め込まれてうごめく姿に魅了されていたのです。 

                           (ASD女性)

          〇

 性差として、それがあるのかどうかはわからない。僕も、自閉っ子はほとんどが男の子の担当

だったのだが、収集癖のある子はたくさんいたが、生き物を収集する子は見たことはない。

 以前事件のあった、毒を入れてその反応を見ていたのは、女の子だった。

 この女性は、瓶の中でうごめく昆虫を眺めるのが好きだったが、今は「ほんとうにひどいこと

をした」と感じている。行為と、それにまつわる感情が、極端に離れているのが、自閉症の特徴

のひとつなのだと思う。

 ドナ・ウィリアムズは、子供の頃、大好きなおじいさんが突然亡くなったとき、自分だけ楽し

いところに行って、おじいさんは「ずるい」と思ったと言う。そして、ずっと大人になった後に

おじいさんが、ずるかったわけではないんだということに、突然気づいて、泣いたと言う。

          〇

 男の子も、アリやダンゴムシをたくさん殺してしまう子はいるが、成長してもその傾向がある

ということは、僕の知る限りいない。もしも、そういう傾向が普通にあるのだとしたら、もっと

問題になっているはずだ。

 (この項、了)

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