〜サポートグループ〜

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　　一九九三年当時は、自閉症成人の運営する自閉症者のためのサポートグループな

　ど、とんでもないと多くの人が思っていた。その人たちはまちがっていた。いまで

　はＡＧＵＡをモデルにしたサポートグループが国内に少なくとも二十はあり、どこ

　もうまくいっている。しかし、多くの自閉症者を一箇所に集めれば症状は悪化する、

　と一部で信じられていたひどい時代もあったのだ。ぼくたちの神経の障害は、接触

　感染するわけでも、素因のあるぼくたちに伝染するわけでもないだろうに。なかに

　は、自閉症者がこんなに大きな前例のない仕事を引き受けるには、監督者は不可欠、

　少なくとも「専門家」を雇って監督してもらう必要がある、と言い張る人もいた。

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　これも驚いた記述だった。

　「多くの自閉症者を一箇所に集めれば症状は悪化する」というのは、確かに、まことしやか

に言われていたことがあった。現代のアメリカには、自閉症者が運営する自閉症者のグループ

がたくさん存在しているわけだ。

　昔、僕も「多くの自閉症者を一箇所に集めれば症状は悪化する」、という考えを、そんなも

のなのかなあ、と思っていたことがある。

　重度の自閉症者ばかりを集めた施設をつくっても、あまりうまくいかない、というのが定評

になっていた。コミュニケーションが難しい子ばかりを集めてもダメなのだ。それよりは、い

ろんな障害の子の中で、一緒に生活した方がいい、と。それはそれで一理はあると思う。

　少なくとも、「多くの自閉症者を一箇所に集めれば症状は悪化する」というのは、偏見の一

種だったなと、言えると思う。

　何故ならば、＜内側から見た自閉症＞からは、自閉症者は、コミュニケーションができない

のではなく、自閉症者独特のコミュニケーションの方法を持っているし、コミュニケーション

をしたいという意欲も持っているものだと思うからだ。