<内側から見た自閉症>

〜シャナ・ニコルズ〜

『自閉症スペクトラムの少女が大人になるまで』


〜「成長のポイント」〜

  物事は進歩します。娘さんは成長して、学び、あなたを驚かせ、喜ばせるでしょ

 う。あなたは娘さんを本当に誇りに思うようになるでしょう。私たち親にとって成

 長のポイントは、こうあるべきだという期待を捨てることです。現実を受け入れる

 余裕をもってください。あなたの人生にはもちろん悩みがあります。娘さんの人生

 にもあるでしょう。これからも困難はついてくるでしょう。娘さんにはあなたがそ

 ばにいることが必要でしょう。でもそこで、控えてください。様子をみてください。

 娘さんは他のきょうだいとも違っていると思います。でも、愛情と支援があれば、

 娘さんは娘さんならではの大人になります。良いところがたくさんあるとわかるよ

 うになるでしょう。診断の中にも雲の明るい切れ間はあるのです。信じてください。

 思っている以上の支援があります。自分自身に、娘さんに、そして他の人たちに対

 して忍耐強くもってください。「乗り遅れた」とか「もう遅すぎる」「もし3歳の

 ときに……してさえいれば」といったコメントに負けないで。自閉症の人たちも、

 適切な支援があれば、他の人と同じように学び、生涯成長するのです。何が適切か

 は、娘さんの変化やあなた自身の変化によって時と共に変わるでしょう。今の耐え

 難い悲しみや動揺を振り返って、あれから何と遠くまで来たことかと驚く日が来る

 でしょう。

(メリンダ・コッポラ、アスペルカー症候群と強迫性障害と診断された娘の母)

          〇

 このお母さんが言っていることは、至極まっとうなことなのではないだろうか。

 成長のポイントは、「こうあるべきだという期待を捨てること」。

 問題は、人の言うことを気にすることではない。

 「乗り遅れた」

 「もう遅すぎる」

 「もし3歳のときに……してさえいれば」等々。

 余計なお世話だ。

 定型発達の子が、成長の目安なのでは、ない。

 「わが子が、わが子ならではの成長ができること」が、親としての最大の望み、で良いの

ではないだろうか。

(この項、了)

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