〜不安感と安定感〜

　　これはほんとに漠然としたことなのでちょっと具体的に言えないんですけど、不

　安が強い人の近くにいるとすごく疲れるんですね。その人がたとえニコニコと、な

　んにも危害を加えるようなことはなくて、大人で社会性もある人だと分かっていて

　も、その人に不安が強いと、すごく疲れちゃうんですね。自分でもよく分からない

　んですけど、見た感じがどうというのは私にとっては、情報として重要じゃない。

　それよりも、気配というか感覚というか、その人がそのままに持つ安定感みたいな

　もののほうに興味があるのかもしれないですね。

　　　　　　　　○

　とても興味深い。

　小道モコは、不安感の強い人に出会うと、とても疲れてしまうと言う。それは、「外見」とは

関係ない。『人は見た目が○割』ということとは、関係がない世界なのだ。

　自閉っ子自身が、不安感が強いから、人の不安に共鳴するのかもしれない。

　ひょっとすると、これは、反対も言えるのではないだろうか。

　見た目とは関係なく、言葉も必要ではなく、落ち着く人といると、安心できる、というよう

に。

　ふたりの自閉っ子が、言葉は交わしていないのに、気が付くと、いつもつかず離れずで、そば

にいることがある。それはやはり、何らかの安心感を抱いているからではないだろうか。

　言葉、ではない。

　気配、感覚、としか言いようがないけれども、言葉の必要がない、根源的な安心感（不安

感）。

　　　　　　　　　○

　この感覚を、自閉っ子はどうやって感じているのか。

　「微細なものに焦点が合う視覚（感覚）」を通して、何とはなしに、感じているのかもしれな

い。

（この項、了）