最近、ずっと探していた「とらや帽子店」のテープが見つかりました。どうし

ても、もう一度、ちゃんと聞きたい曲が入っているテープだったので、見つかっ

て、とても嬉しかったです。

　さっそく聞いてみました。

　 僕が聞きたかったのは、「だから雨降り」という曲です。

　　　　　きのうみどりのカエルがね

　　　　　大きな葉っぱの後ろでね

　　　　　お天気続きでかなわんと

　　　　　空にお祈りしたんだよ

　　　　　だから今日は雨降り

　　　　　だから今日は雨降り

　　　　　きのうとなりのあじさいが

　　　　　すっかり用意をととのえて

　　　　　そろそろあたしも咲きたいと

　　　　　空にお祈りしたんだよ

　　　　　だから今日は雨降り

　　　　　だから今日は雨降り

　　　　　きのう黄色いながぐつが

　　　　　ほこりだらけの下駄箱で

　　　　　外の空気を吸いたいと

　　　　　空にお祈りしたんだよ

　　　　　だから今日は雨降り

　　　　　だから今日は雨降り

　どうでしょうか？

　曲も合わせてお聞かせできるといいのですが、とてもいい曲なんです。

　残念ながら、録音してもらっただけのテープなので、作詞者や、作曲者はわか

りません。僕は、すごい詞も曲もよく合っていて、大変な名曲だと思っていま

す。

　この歌詞のどこがいいのでしょうか？

　僕は、「情景」が、とても良く浮かんで来るところだと思います。

　ほら、よく雨の日なんかに、子どもが「外に出たい」って、泣くじゃないで

すか。この歌詞は、それをお母さんが、子どもに「説得」している歌詞だと思う

んです。

　「きのう、かえるさんが、お天気ばかりでかなわないから、雨を降ら

せてくださいって、空にお祈りしたんだよ。だから、今日は雨降り、な

んだよ。外に出られないのは、だから、仕方がないんだよ。」と、お母

さんが泣きじゃくる子供に説明している歌詞だと思うんです。

　しかも、この詞には、実際には、母親だけしか登場していませんよね。

　母親だけの一人称で書かれているだけなのに、でも、ちゃんと子ども

が浮かんでくるでしょう？　母親と子どもが向かい合って座っていて、母親

が子どもに優しく「説得」している姿が、浮かんでくるでしょう？

　母親と子どものふたりの関係が、とてもよく描かれていると思うんです。

　そこが、とても好きなところだし、この曲を名曲にしている理由のひとつだと

思います。

　まあ、もっとうがった見方をすれば、一・ニ番は、家の中にいようね、という

説得ですよね？　でも、三番の歌詞は、「ながぐつ」が外に出たいと言っている

わけですよね？　

　だから、この親子は、これからながぐつをはいて、傘でもさしながら外に出

て、一緒に歩くのかもしれませんよね。

　とてもいい展開の歌詞になっているとも言えますが、さあ、作詞の人は、そこ

まで考えて書いているのかどうか……。

　まあ、それはともかく、とてもとても、いい歌だと思います。