臨床系統発生学の創始には印象深い症例がありました。ある大学の教授が手遅れ

　の口腔癌となり、筆者に紹介されて来ました。舌癌が進んで口腔底全体に波及して

　口が開かない状態となっていました。手術をしても助からないので、抗癌剤と放射

　線療法を行いました。患者さんのたっての希望で、病院には内緒で気功士を呼んで

　週に二回病室で治療を受けていました。筆者にだけこっそりと教えてくれましたの

　で、気功の効果を客観的に観察してみました。

　　治療が一クール終了した後にも気功を続けたところ、放射線と抗癌剤が転移巣に

　は効果のないはずなのにどんどん縮小して口も開くようになりました。気を投入し

　ているときに病巣に痛みを感じるとの訴えがありましたので、気功は恐らく体温と

　同じ電磁波であろうと考えて三〇枚程写真を撮影してみました。五枚くらいの写真

　に、気の投与中に気功士と患者さんから光が出ているのが撮影されましたので、医

　学的に気功を考えると生命エネルギーの電磁波が患者の副腎に作用して、副腎皮質

　ホルモンが分泌され、この作用で転移巣の癌細胞が白血球によって消化されること

　が予想されました。

　　　　　　　　　　　　○

　「気功」というのは、僕には「正体」は、よくわからないし、知り合いの人から、似たよう

なことをやってもらったこともあるが、その時も、実感は湧かなかった。

　ただ、西原克成の書いているようなことが、実際に起こりえないことだ、とは言えないので

はないだろうか。

　「科学的」に言えば、効果に個人差があったりして、実際に、客観的に確認することはでき

ないだろう。だが、「科学的」に確認することができないからと言って、「オカルト」や「イ

ンチキ」として、全否定することはできない。

　＜人間＞は、脳、内蔵、細胞も含めて＜未知＞の部分（可能性）をたくさん残していると考

えた方がいいと思う。

　（この項、了）