「内臓感覚」ノート


456・「すみれちゃんの胎内記憶」

 のぶみ ママさん、すみれちゃんが生まれたときって、なんか特別なことが起こっ

     たりしたんですか? ほら、かみさまだから、光ってたとか。

 ママ  光ったりはしてないです(笑)。

     でも、生まれる前から不思議なことはありました。

     「明日が出産予定日だよ〜」ってお腹に語りかけたら突然、破水したとか。

 すみれ だって、「生まれていいよ」ってことだと思ったから。

 のぶみ え? ママさんの声聞こえてたってこと?

 すみれ うん、全部聞こえてたよ。それで、お腹から出ようと思って蹴ったら、破

     水した。

 ママ  そのとき、病院に行ったら担当の先生がいなくて……。助産師さんが「ち

     ょっと待ってください!」とおっしゃったんです。

     そしたら、ピタッと陣痛が止まりました。

 すみれ 助産師さんが「止まって」って言うから、止まらなきゃって。

 のぶみ すごい〜! 全部聞こえてるし、ちゃんと言葉を理解してるんだ。これっ

     て、すみれちゃんだけの特殊能力?

 すみれ いや、あかちゃんってみんな、ママとかお腹の外の声は聞こえてるし、理

     解してるはずだよ。お腹から出てくるときってすっごくせまいからあかち

     ゃんはみんな、「苦しい〜!」って言ってる。

 のぶみ 出産ってママもがんばってるけど、あかちゃんもすごくがんばってるんだ

     ね。

 ママ  あと、不思議なことで言えば、大体のあかちゃんって「オギャー!」って

     産声をあげるじゃないですか。

     でも、すみれは生まれた瞬間、にっこりして「ウゲッ」って言ったんです

     (笑)。

 すみれ (笑)。ほんとうは「こんにちは」って言おうとしたんだけど、言葉が出

     せなくて……あれ? って。そしたら「ウゲッ」って声が出た。

 ママ  そのとき助産師さんが、「この子、息してないわ!」って騒ぎはじめて、

     呼吸をさせようとこの子のお尻をパチンってぶったんですよ。そしたらあ

     かちゃんってそんなに動くか!? ってぐらい足をバタバタさせて、助産

     師さんを思いっきりにらみつけたんです。

 すみれ だって、痛かったんだもん。

 のぶみ そしていよいよ怒ったすみれちゃんの体が光りだすとか?

 ママ  さっきも言いましたが、光らないですよ(笑)。

     ただ、助産師さんがすみれの体をゴシゴシふいたあと、タオルで包んで私

     に渡してくれたんですね。

     そしたら小さい手をヒョイと出してきて、私のお腹の上にすみれを置いた

     ら、自分でグイグイはいあがってきて、おっぱいをゴクゴク飲みはじめた

     んです。

 のぶみ ひとりで!? ……すみれちゃん、生きる気満々だな。

 すみれ お腹空いてたんだもん。

 ママ  それを見て助産師さんたちもザワザワしはじめて、「ちょっとこれ見てよ!

     こんなの初めて見たよね!」と驚いてらっしゃいました。

(『かみさまは小学5年生』 すみれ)

          〇

 すみれちゃんは、ハッキリと胎内記憶があると言う。人には、オーラが見える。お腹の中に

いる赤ちゃんが見えるし、お腹の中の赤ちゃんと話すことができる。

 神様と話すこともできるし、天使と話すこともできる。

 また、お腹にいる時は、お母さんのお腹から、外のことが見えていたし、会話も聞こえ、理

解していたと言う。お母さんが笑うときは、子宮の中全体が、幸せな気持ちに満たされるのだ

と言う。

 お腹の中で、お母さんが「出産予定日」と言うと、破水したし、ちょっと待ってと言われる

と、陣痛がおさまった。すみれちゃんは、お腹の中にいた時の、その記憶があるのだと言う。

 すみれちゃんは、「かみさま」だと言われているわけだが、これらは、「普通の赤ちゃんに

起こりうる」ことだと思う。

 すみれちゃんは、「内臓感覚」優位の人なのだと思う。

 お腹の中で、お母さんと、しっかりとした内臓感覚で結びついていたのだろう。

(この項、了)

 

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