私は自分が生まれた日のことを覚えています。でも、ごく最近まで、自分で勝手 に想像したのではないかと思いこんでいました。 ある日、私が２０ウン歳になったとき、母にこのことを話してみました。 「私が生まれた日、パパは階下で無線電報を直していたんじゃない？ ママはテレ ビを見ていたけど、急に立ち上がり、『病院に行くときがきた』とパパに告げたん でしょ？」 そうしたら母は、私の言ったことがすべて事実だということを確認したのです。 私が自分の見たことを事実だと信じているのには理由があります。 といっても、母が事実関係を確認したからではありません。むしろ、私の見た光 景が空中から見た視点になっていたからです。まるで空中に浮かんで眺めながら、 自分の体に入る瞬間を待っていたような感じでした。それを思い出すたびに不思議 な気持ちになります。
○ 胎内の時に見た「映像」が、自分が生まれる前の映像であった。この記述から、今、取り出 してみたいのは、「上から見ている視線」だ。母親の会話や、その時に来ていた服も一致して いると言う。これらを科学的に確認することは、まず不可能だろうが、少なくとも、胎児期の イメージの見え方が、「瀕死者」が見るイメージの見え方と共通していることは、とても興味 深い事実であるように思われる。本当は、誰もが、こういう視点を胎児の段階では、大なり小 なり持っていたのではないのか。だが、成長につれて、忘れていってしまう。「瀕死者」のよ うな状況に置かれると、その胎児期の能力が再現されるのかもしれない。 ○ 私の妹には不思議な記憶があります。生まれる前の記憶です。私の妹も「私はお 母さんを選んで生まれてきたんだ」と言ってます。妹の場合、生まれる前に、空 （？）から両親を見ている記憶から始まるそうです。そこでは母と父がお城の川べ りをデートしている光景が見え、ほかにも何組かのカップルがいたそうです。妹は どの女の人にしようか悩んだ末、今の母が一番やさしそうな女性に見えたので、母 に決めたそうです。 ちなみにそのとき母が着ていた、ワンピースの柄や色までも覚えています。実際、 母は妹が生まれる前、父と熊本城付近をデートしており、そのときに着ていたワン ピースの柄や色も妹が言っていたのと同じワンピースだったそうです。 ペリーさん（23歳） ○ この妹さんは、お母さんを自分が選んで、胎内に入り生まれてきた記憶があると言う。 さしあたり、僕には「前世」も「生まれ変わり」も信じられないことなのだが、少なくと も、ここでも「空中から見た視線」は、共通していると言えるだろう。 また、胎児の段階で、意識（前意識の状態）を持っており、「夢を見ている」ことも、確実 だと言われているから、妹さんの話が、その頃に見ていた夢の「名残」であることも、充分に 考えられることだと思える。 （この項、了） |