ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』の中から、ユヴァルの書いた歴史年表を引用し ておく。僕のメモも兼ねているので、僕が書きとめておきたいこと（※その箇所は強調してお く）も付け足しておく。 一三五億年前 物質とエネルギーが現れる。物理的現象の始まり。 原子と分子が現れる。化学的現象の始まり。 四五億年前 地球という惑星が形成される。 三八億年前 有機体（生物）が出現する。生物学的現象の始まり。 六〇〇万年前 ヒトとチンパンジーの最後の共通の祖先。 二五〇万年前 アフリカでホモ（ヒト）属が進化する。最初の石器。 二〇〇万年前 人類がアフリカ大陸からユーラシア大陸へ拡がる。 異なる人類種が進化する。 五〇万年前 ヨーロッパと中東でネアンデルタール人が進化する。 三〇万年前 火が日常的に使われるようになる。 二〇万年前 東アフリカでホモ・サピエンスが進化する。 七万年前 認知革命が起こる。虚構の言語が出現する。 歴史的現象の始まり。ホモ・サピエンスがアフリカ大陸の外へと拡がる。 四万五〇〇〇年前 ホモ・サピエンスがオーストラリア大陸に住みつく。オーストラリア大 陸の大型動物相が絶滅する。 四万年前 最古の人類が日本に到達。 三万二〇〇〇年前 象牙彫りのライオン人間。 三万年前 ネアンデルタール人が絶滅する。 二万年前 ラスコーの洞窟壁画。 一万六〇〇〇年前 ホモ・サピエンスがアメリカ大陸に住みつく。アメリカ大陸の大型動物相 が絶滅する。 縄文時代の始まり。 一万五〇〇〇年前 氷河時代が終わり温暖化。 一万三〇〇〇年前 ホモ・フローレシエンシスが絶滅する。ホモ・サピエンスが唯一生き残っ ている人類種となる。 一万二〇〇〇年前 農業革命が起こる。植物の栽培化と動物の家畜化。永続的な定住。 五〇〇〇年前 最初の王国、書記体系、貨幣。多神教。 四二五〇年前 最初の帝国−−サルゴンのアッカド帝国。 三七〇〇年前 中国に最初の王朝・殷−−甲骨文字。 三〇〇〇年前 ハンムラビ法典 二五〇〇年前 硬貨の発明−−普遍的な貨幣。 ペルシア帝国−−「全人類のため」の普遍的な政治的秩序。 インドの仏教−−「衆生を苦しみから解放するため」の普遍的な真理。 二〇〇〇年前 中国の漢帝国。地中海のローマ帝国。キリスト教。 一四〇〇年前 イスラム教。 五〇〇年前 科学革命が起こる。 人類は自らの無知を認め、空前の力を獲得し始める。 ヨーロッパ人がアメリカ大陸と各海洋を征服し始める。 地球全体が単一の歴史的領域となる。 資本主義が台頭する。 二〇〇年前 産業革命が起こる。 家族とコミュニティが国家と市場に取って代わられる。 動植物の大規模な絶滅が起こる。 今日 人類が地球という惑星の境界を超越する。 核兵器が人類の生存を脅かす。 生物が自然選択ではなく知的設計によって形作られることがしだいに多 くなる。 未来 知的設計が生命の基本原理となるか？ ホモ・サピエンスが超人たちに取って代わられるか？ 七万年前には、現在の脳になり、認知の革命が起こったと言われているが、実際に「象牙彫り のライオン人間」が作られたのは、三万年前だ。
ライオンと人間が合体している像は、どういう意味があるのか、現代の僕たちにはわからな い。だが、あきらかに、「目と手」を使って考える段階の像だと言える。 脳が現代のものになっても、そこから「芸術の爆発」を生み出すまでに、四万年かかってい る。その約三万年に、人類が何をしていたのかは、わかっていない。 僕は、「感覚で考える段階」を、延々と積み重ねていたと思う。その積み重ねが、一定の水 準を超えるまでに、三万年という時間がかかった。その水準が達成されたとき、抽象的な思考で はなく、「目と手」を使って考えることができ、芸術を作ることができるようになった。 その期間に、人類は、アフリカから、全世界に広がり、日本にも到達しているし、同時に、た くさんの動物が滅びているし、ネアンデルタール人も滅んでいることになる。 （この項、了） |
