石田敦子の異議申し立てに、僕ものっかりたくなった。

　石田敦子の言っていることは、まったく正当なことだ。

　ひどい番組だと言う他はない。

　『仮面ライダー』の主題歌で、初めて聞いた子門真人（当時は、違う名前だった）の「声」

は、とても新鮮で、衝撃的だった。ああいう独特の声の人は、それまでのアニメソングの歌の

概念にはなかった。

　子門真人は、まぎれもなく、小中学生の頃の僕のヒーローだった。「働くくるま」は、今で

も、寄宿舎に行くと生徒が聞いている。

　どうして引退したのか、僕にはわからないが、自分の「やりたいこと」と「やっているこ

と」の狭間で、とても苦しんでおられたのかもしれない。

　だが、子門真人は、アニメの歌や、子供の歌が、「大人の歌」と同列に扱われている現

在の状態を作り出した最初で、最大の功績者だ。

　その意義が、変わることは、これからもありえない。

　（この項、了）